Unity 活用事例

Honda の デザインチームがインタラクティブなプレゼンテーションを簡単に作成できるようにする Unity カスタムエディターを開発

  • 本記事はUnity Blog の記事を抜粋したものです。
    Honda のデザイナーが 1 日で美しいインタラクティブなプレゼンテーションを作れるようにした仕掛け

     

    埼玉県和光市にある Honda デザインセンターは、将来の Honda の自動車や自律型ロボットなどのプロジェクトに向けた、新しいコンセプトやデザインの開発に注力しています。同センターにあるオートモービルデザイン開発室は、デザインやエンジニアリングのプロセスを改善するための新技術の活用において、常に最先端を走ってきました。

     

    デザイナーのためのカスタム Unity エディターを開発


    2019 年から、Unity は Honda と協力してカスタムの Unity エディターツールを開発し、デザインチームが車両デザイン用のインタラクティブなプレゼンテーションを簡単に作成できるようにしました。



    これにより、車両デザインのインタラクティブなショーケースのために、デザイナーが 1 日でプレゼンテーションを作成することが出来るようになりました。これまでのように、ベンダーに仕事を委託して何週間も待つ必要がなくなり、各デザインの中で、「コトづくり」の Honda の強みをよりよくアピールできるようになったのです。

     

    デザインの可視化の課題に対する解決策を求めて


    Honda デザインセンターでのプレゼンテーションの様子。Unity 導入以前は、デザイナーはこの画像にあるように、静止した車両のシンプルなリアルタイムビジュアライゼーションを作成していました(画像提供:Honda)



    Honda の車両デザインチームは、プレゼンテーションするすべての商品にストーリーを持たせ、それが顧客に/ういykjどのような付加価値をもたらすのかを示す必要があります。しかし、Honda のデザイナーの手元には、経営陣と共にコンセプトに合ったデザインが出来ているかを確かめるために、可視化、プレゼンテーション、およびレビューを行うツールがありませんでした。そこで、まずはこの作業を外部に委託することにしたのです。

     

    「最高のビジュアライゼーションツール」


    Honda は、デザイン開発の初期段階でこうした課題を解決するために Unity に着目しました。「様々なアイデアをスピーディに可視化し、検証出来るビジュアライゼーションツールが必要でした。」と、本田技術研究所デザインセンター オートモービルデザイン開発室の佐野英樹氏は語ります。「Unity との連携により、オペレーション時間を最小化し、クリエーション時間を最大限に活用することが可能になり、今まで表現が困難だった人や暮らしの中でホンダの商品がどう関わっていくかなど、ストーリーやコトづくりの可視化が行えるようになりました。」と述べています。



    また、「今までの常識だと数週間かかっていたプレゼンテーションをたった 1 日で完成できるようになりました。」と佐野氏は言います。「Unity を使うことで、従来のプロセスに比べて、最終的なプレゼンテーションを格段に速く完成させられるようになり、驚いています。Unity は、私たちの将来のニーズについても、それに合わせて適応や拡張させることが可能な最高のビジュアライゼーションツールだと思います。」

    これらのプレゼンテーションの作成の容易さに加えて、Unity を使えば、プレゼンテーションの見せ方についても、さらに柔軟性を持たせることができます。例えば、Unity を使ってリアルなレンダリングや動画を作成するだけでなく、PC 上で動作するアプリケーションとしてを実行することもできます。



    そしてレビューミーティングの際には、インタラクティブなリアルタイムプレゼンテーションを見ながら、シーン、天候条件、時間帯など、車両の置かれるさまざまな条件を調整して、どのような見え方になるかを可視化することができるのです。

     

    Honda のカスタムエディターの内部を探る


    Unity の拡張性により、Unity エディターのUIそのものををニーズに合わせて拡張することができます。そこで Honda では Unity エディターを拡張しプラットフォームとして活用することで、Unity の専門知識がそれほど深くない車両デザイナーのニーズにも対応する事ができるようになりました。



    カスタムエディタには他にも様々な技術や機能が実装されています。

    高精細かつ多機能なカスタムソリューション


    高精細でフォトリアリスティックなビジュアルコンテンツを重視していた Honda は、Unity の HD レンダーパイプライン(HDRP)を早くから採用していました。そこでUnity の日本チームは Honda と密接に協力して、HDRP をベースとして Cinemachine、タイムライン、NavMesh などのツールやコンポーネントを活用したカスタムソリューションを開発しました。


     


    車両システム


    Honda のデザイナーは、Autodesk Alias AutoStudio などのプログラムを使って車両をデザインする際に、これらのモデルを FBX ファイルとして、またはネイティブの CAD(Pixyz Plugin で変換)として Unity にインポートすることができます。Unity の車両コンポーネントを使用することで、Honda のデザイナーは、走行可能な車両を素早くリギングしてアニメーション化することができます(車のドアを開けるなど)。



    車両は、事前に定義された経路に沿って走行したり、自動運転やユーザー制御を行うことができます。ユーザー制御オプションの場合は、新しいUnity入力システムを使用して、設計者が自分の好みに合わせてコントロールを簡単に設定できるようにしました。

     

    環境システム


    このコンポーネントは、時間帯、雨、ライティング、霧など、環境の視覚的特性を管理します。この実装には、シェーダーグラフのキーワード機能を使用して、シェーダーを一度に異なる状態(雨天、晴天、ライトオン、ライトオフなど)に切り替えられるようになっています。キーワード機能により、例えば以下のように関数を 1 度呼び出せば同じキーワードを使用するすべてのシェーダーの状態を切り替えることができるようになりました。



    また、レゴのように組み合わせてユニークなロケーションを作成できる 20 以上の環境ブロックのコレクションも含まれています。Honda のデザイナーは、ProBuilder を使用して直接 Unity で新しい環境を作ることができます。環境は、Autodesk Maya などのプログラムを新しい環境を作成することも可能です。

     

    人間キャラクター制御システム


    このコンポーネントを使用すると、プレゼンテーションでアニメーション化されたインタラクティブな人間のキャラクターを簡単に作成することができます。Honda のデザイナーは、豊富な機能を備え、洗練された Unity のアニメーションシステム(「Mechanim」と呼ばれることもあります)をベースにした人間のモデルを素早くリギングすることができます。


    キャラクターには様々な動きを割り当てることができ、経路に沿って歩いたり、NavMesh コンポーネントを載せて自動的に歩いたり、ユーザーが手動で操作したりすることができます。この例では、Honda は Unity アセットストアにある Akishaqs のスタイル化されたローポリゴンの人間キャラクターを使用しました。

     

    今後の予定


    これらのカスタマイズされた Unity エディターツールの現行バージョンは、Honda のデザイナーがリアルでインタラクティブなデザインプレゼンテーションを迅速かつ効率的に作成できるようにすることに重点を置いています。Honda は今後、技術者ではないデザイナーが VR サポート、リアルタイムレイトレーシング、マテリアルの混合、リアルタイムグローバルイルミネーションなどの強力な Unity 機能を利用できるように、同様のツールを作成する予定です。