目次
1)ProBuilder がレベルデザイナーのお気に入りになる理由
Unity を使用して作業しているレベルデザイナーなら、ProBuilder をきっと気に入っていただけるでしょう。ProBuilder を使用すれば、エディター内でレベルのデザイン、プロトタイプ作成、テストプレイまで軽くこなせます。
ProBuilder を使えば、デザイナーの方でも、Unity でカスタム 3D ジオメトリの構築、編集、テクスチャーの設定を行えます。シーン内の各ゲームエリアのデザイン、プロトタイプ作成、メッシュのコライダー設定など、すべて手間なく一気にテストプレイまでできてしまいます。高度な機能としては、UV 編集、頂点カラー、パラメトリックシェイプ、テクスチャブレンドなどが用意されています。ProBuilder のモデルエクスポート機能を使用すると、作成したレベルをあらゆる外部の 3D モデリングツールで簡単に微調整できます。
ProBuilder は『SUPERHOT』、『Manifold Garden』、『République』 などのゲームで使用されています(ただし、ProBuilder API は現在ベータ版であり、最終リリースの前に変更があるのでご注意ください)。
2)ProBuilder でのホワイトボックス作業
Gabriel Williams と Karl Henkel によって開発された ProBuilder ツールセットが 2018 年にエディターに組み込まれたことで、Unity を使ったステージのプロトタイプ作成とホワイトボックス作業の効率が飛躍的に向上しました。レベルデザイナーであれば、シンプルなジオメトリを使ってゲームステージの色々な型を表すデザイン手法である、ホワイトボックス作成(多くのソフトウェアでジオメトリのデフォルト色として白が使われているためこう呼ばれます)については通じているものだと思います。
ホワイトボックス作業により、チームメンバーはレベルデザイナーが設定した制約に従って迷わず作業できるほか、開発の早期の段階でデザイン上の不具合や開発を妨げる要素を特定できるようになります。
3)ProBuilder の入手方法
ProBuilder は、パッケージマネージャーから入手できます。ProBuilder を入手してインストールすると、エディターの「Tools」メニューの下に表示されるようになります。

以下に示すのは、エディターにドッキングされた ProBuilder ウィンドウのスクリーンショットです。ウィンドウを右クリックすると、ツールがテキストではなくアイコンとして表示されます。これは、Max 3DS や Maya の使用経験があるユーザーであれば慣れ親しんだ動作です。

Shape Tool(形状ツール)にはさまざまなゲームオブジェクトや形状が用意されており、ドロップダウンメニューから選択してそこからレベルの作成を開始できます。

4)オブジェクトと要素
オブジェクトモードは、ゲームオブジェクトを選択して移動、回転、拡大/縮小できる、Unity のデフォルトの動作です。
要素とは、メッシュを構成する個々のパーツ(頂点、エッジ、フェース)のことです。マップ上の詳細さの度合い(町、州、国など)と考えるとわかりやすいかもしれません。モードを変更するには、Edit Mode(編集モード)ツールバーをクリックするか、ショートカットキーを使用します。

- 頂点の編集:頂点を選択および編集して詳細を編集し、頂点の分割や接続などの機能を適用します。
- エッジの編集:エッジを選択および編集してジオメトリを編集し、エッジループモデリング手法を適用します。
- 面の編集:オブジェクトの面を選択および編集し、面の削除や押し出しなどのタスクを実行します。
編集する要素の種類を選ぶには、Edit Mode(編集モード)ツールバーで該当するボタンをクリックします。そうすれば以後は Unity の標準である選択メソッド(クリック、ドラッグなど)と操作制御(移動、回転、拡大/縮小)で何なりと使用することができます。
デフォルトで ProBuilder には、いわゆる Unity ユニットでのマテリアルが配備されています。以下の例で示されるように、ドラッグされる各ブロックが 1 Unity ユニットになります。

5)ProGrids
効果的にスナップができる ProBuilder には ProGrids という機能もあり、これを使用することで、正確なメトリクスの下に作業を行うことができるようになります。パッケージマネージャーからダウンロードすれば「Tools」メニュー内に表示されます。垂直リスト上の最初の項目が「Snap Settings」となっています。

「Snap Settings」は設定で Unity ユニットの半分にするなど、思う通りの寸法で設定できます。グリッドのオンとオフを切り替えることもでき、表示しておきたい軸も選べます。
ProGrids に切り替えることで正確な位置へスナップできるようになり、これで手早く作業が行えるだけでなくホワイトボックス作成時に大量のエラーを発生させずに済むようになります。
6)PolyShape
PolyShape ツールを使用すれば、思う通りに頂点を駆使して複雑な形を作成できますし、それだけでなく法線を反転させたりすることもできます。大半のレベルデザイナーは見下ろし視点でマップを描くことに慣れているので、PolyShape があればこのタスクの負荷は大変軽くなります。例えば、写真を撮り、それをエディター内の平面に適用し、そして PolyShape を使用して空間/形状をなぞって描き出せば、最初のレイアウトをすぐに作成できます。そこから作りこんでもいいですし、思う通りにカスタマイズもできます。

7)切り離しツール
ProBuilder で選択したフェースをゲームオブジェクトとして切り離し、エディター上で完全に制御できるようになります。フェースを選択、結合して、1 つのメッシュにすることもできます。

ちょっとしたテクニックです。切り離しツールのプラス記号のアイコンをクリックする前には、必ずサブメッシュではなくゲームオブジェクトとして切り離しを行っているか、という事を確認するようにしましょう。ゲームオブジェクトとして切り離すということはつまり、ヒエラルキー内でコントロールが表示されることになるので楽になるだけでなく、内部と外部の環境を思うままにオンオフ切り替えられるようにもなるということでもあるからです。
8)簡単なカラーコーディング
ホワイトボックス作成の段階から、もうオブジェクトの色分けやコーディネートを造作なく行えます。例えば、ある要素を赤でカラーリングすることで、その要素が破棄可能であることをチームの他の人達へ伝えることができます。
Vertex Colors(頂点色)機能により、「プラス記号」のアイコンを選択してカラーパレットを作成することができます。パレットをカスタマイズしてシーン内に適用する色や色数を定義し、それをチーム内で共有することで全員が同じカラーコード規約へ準拠した使用ができるようになります。

オブジェクトを選んで「Apply」を押す、それだけです。細分化して個々のフェースに適用することもできます。カラーコードについて全員が同じ意識を共有すれば、チームの効率が向上する結果へとつながります。
最後に、PolyBrush は Terrain ツールに似た 3D スカルプティングツールですが、メッシュで使用します。PolyBrush を使用するとスカルプティング、テクスチャのブレンド、細かいジオメトリをばらまく形で配備できます。ProBuilder で洞窟、球状の世界、自然物や他いろいろなものと組み合わせることができます。詳しくは こちら.

9)追加のヒント
Liz と Jonathan がワークフローの改善に役立つ補足的なワークフローのテクニックついて説明いたします(約 29 分)。トークはこちら.