Unityを初めてお使いになるお客様から、「どのUnityエディタのバージョンで開発をスタートすれば良いか?」というお問い合わせをいただくことが多くあります。
結論から先に申し上げれば「最新のLong Term Support(LTS)バージョンをまずはご利用ください」とお答えしています。その理由について、Unityエディタのリリースサイクルの現状などを交えて紹介します。
2021年現在、Unityエディタには2つのリリースサイクルがあります。
目次
Long Term Support(LTS)
- 毎年1回リリースされ、その後は約2週間に1度のペースでバグ修正のみが行われる
- 毎年1回のリリース以降は新機能追加は行われない(前年のTech Releaseのバージョンを引き継ぐので、そこで実装された機能などは継承する)
- 毎年1回のリリースから2年間のサポート期間が設定されている
Techストリーム
- 翌年のLTSリリースに向けた、新機能追加などが行われる
- リリースは年2回行われ、その間は1~2週間に1度のペースでバグ修正やさらなる機能追加などが行われる
- 最新のTechストリームがリリースされると、それ以前のTechストリームのサポートは終了する(なので、Techストリームのサポート期間は実質6ヶ月間程度)
上記の表で、LTSとTechストリームのリリースサイクルを見てみましょう。緑色がLTSで青色がTechストリーム、下の数字が年代になります。
2020年を例にすると、(Unity)2020.1というTechストリームが最初にリリースされます。その年の最初のTechストリームは概ね春がリリース時期です。2020.1は次の2020.2がリリースされるまで、1~2週間おきに1度のペースでバグ修正やさらなる機能追加などが行われるサポート期間が設けられます。
そして2020.2が同じ年の秋~冬ごろにリリースされると、2020.1のサポート期間は終了し、2020.1はアップデートされません。代わりに2020.2がサポート期間を迎えます。
翌年の2021年、概ね春ごろに2020.xのTechストリームは2020 LTS(=2020.3)となります。これにより、2020.2のサポートは終了し、2020 LTSは2年間のサポート期間が設けられます。従って、2020 LTSのサポート終了期間は2023年(春)になります。
そして、2020 LTSがリリースされる前後に2021.1がリリースされ、これが新たなTechストリームとなるのです。サポート期間の考え方は前年と同様です。
これがUnityエディタの1年間のリリースサイクルです。
そして、冒頭の「どのUnityエディタのバージョンで開発をスタートすれば良いか?」に戻りますが、まずは最新のLTSを採用することをオススメします。どのタイミングにおいても、Techストリームよりも長いサポート期間を得ることができ、その間にバグレポートを出せば、以降のアップデートで修正される可能性を確保できるからです。
Techストリームはサポート期間が短く、長期運用が前提の現代のゲーム開発ではTechストリームのUnityエディタで開発を続けるのは避けた方が良いです。一方で、LTSも最長で2年間のサポートであるため、プロジェクトによっては次のLTSへのアップグレードを避けられない状況が出てくるはずです。そういう際に、将来のLTSへの移行を見越してTechストリームを活用し、プロジェクトのアップグレードでの不具合を早期に発見・対応することが可能です。
また、新しい機能を試す際にTechストリームを活用するケースもあるでしょう。そうした技術検証や、あるいは新しい機能を使ったプロトタイピングなどに、Techストリームを活用すると良いでしょう。
いずれにせよ、Unityエディタのバージョン選択ではLTSを選択することをまずはオススメしますが、上記のリリースサイクルを理解することでより柔軟なバージョン選択ができるようになります。それぞれのサポート期間も踏まえ、適切なバージョン選択ができるよう心がけてください。
LTSバージョンのダウンロード
こちらからダウンロードしていただけます。