Unity Proライセンス購入の皆様はUnityの基本操作は勿論、Unityに深く精通しており、最新機能が提供されたらすぐに使い方マスターして自分たちの製品に取り込めないか検討をする、そう思って過去の記事を書いてきました。しかし、全Unity Proユーザーがそのようなことは無く、基本的なところで操作に困っているとか、断片的な知識だけで作業をしているためかなり遠回りしながら問題を解決していると言った相談を受けることもあります。
そこで、この記事では基本に戻ってUnityの基本的な勉強方法に加えて、Unity Technologies社提供の「Unity Learn」およびUnity Technologies Japan社提供の「Unity Learning Materials」を用いた自学自習に使える学習コンテンツを紹介します。
なお、これらのコンテンツは記事執筆時点の情報のため、時間が経過するとコンテンツの内容が変わったり、消えたりすることもありますのでその点はご了承ください。
使用環境を以下に示します。
- Unity 2020.3.23f1
- Windows 10(21H2)
基本的にWindows 10で検証していますが、ほとんどの学習コンテンツはそのままmacOSでも利用できますのでご安心ください。
目次
Unityの教材について
Unityに関する学習教材は、英語による書籍やネットの記事や学習サイトは勿論のこと、同じかそれ以上に日本語でも多数の書籍やネットの記事や学習サイトがあります。それらをすべて網羅し体系的にご紹介するのはかなり難しいため、筆者なりの学習方法の紹介と、Unity Technologiesが提供する学習サイトについて紹介します。
書籍
本屋さんに行くと、一つの棚がUnityに関する書籍だけで埋まっているお店も少なくありません。それぐらい多数の書籍が出版されています。いくつか手に取って軽く読んでみて、自分好みの本を選ぶと良いでしょう。この時、注意して欲しいのは使用しているUnityのバージョンです。現時点(2021年11月)の最新UnityのバージョンはUnity 2021.2です。そして書籍も最新バージョンのUnityに対応した書籍もたくさん出版されています。
ですがちょっと待ってください。
Unityのバージョンの確認はとても重要ですが、最新版=とても良いUnityのバージョンと言う訳ではありません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
執筆時点においてUnity2021はまだTechストリームであり、サポート期間も短く仕様変更もあるかもしれません。そのため書籍執筆時点では最新であっても、既にサポート切れていたり、仕様が変わっていたりする恐れがあります。そのため初心者向けには「最新のLong Term Support(LTS)」バージョンに対応している書籍をお勧めします。
本時期執筆時点のLTSバージョンのUnityはUnity 2018.4.x 、Unity 2019.4.xおよびUnity 2020.3.xとなっています。
Unity TechnologiesおよびUnity Technologies Japan社提供の学習コンテンツ
書籍のほかにもネットに多数の学習教材がありあす。冒頭でも述べたようにそれらを俯瞰しご紹介するのは非常に難しいため、ここでは自社製のオンラインコンテンツをご紹介します。
まずはUnity Hubです。Unityを利用する時に最初にインストールするUnity Hubですが、執筆時点の最新バージョンはUnity Hub 2.4.5です。次のバージョンはUnity 3.0.0ですがまだβバージョンとなっています。Unity Hub 3.0.0ではUIが刷新され、機能もいくつか増えています。ここでは学習コンテンツ部分に注目したいと思います。
Unity Hub 3.0.0から学習コンテンツへのリンクが日本語に対応しました。「使い方を学ぶ」をクリックすると、「注目」コースが表示されます。こちらの学習コンテンツはUnity Learnサイトに掲載されている学習コンテンツから初学者向けのコースをピックアップして掲載しています。
Unity Learn

もう一つ、「コミュニティ」のリソースの一番下に「Unity Learning Materials」へのリンクがあります。こちらはUnity Technologies Japanが運営している 日本語のサイトとなっています。
Unity Learning Materials

これら2つの学習サイトの中からUnityの学習に役立つコースをご紹介します。
Unity Learn
ページを開き、Unity IDでログインをするとこのような画面になります。
・・・ちょっと待ってください!!!英語だからと言って逃げないでください!!!(気持ちは分かりますが)。
現在、トップページを含めた日本語化を進めています。今は主要コンテンツのみ先行して翻訳していますので、トップページは英語ですがコンテンツまでたどり着くと日本語になりますので、頑張ってください。

さて、日本語のコンテンツを利用するために、言語の設定を変更しましょう。トップページをスクロールして、一番下まで移動すると「Language」と書かれているところに「日本語」と言うリンクがあります。これをクリックすると日本語コンテンツをメインとしてアクセスするようになります(これでページ内の表記も一部日本語になります)。

それでは学習コンテンツをご紹介します。
「Unity の基礎」
https://learn.unity.com/course/unity-basics-jp

何はともあれUnityの基本的な使い方が分からなくては始まりません。まずはここのコースの最初にある「Unityのインタフェースを使う」を勉強してみましょう。

なお、さらに続いて紹介井されている「2D ゲームキット」はUnity 2017.xでアップデートが止まってしまったため現在非推奨です。
「The Explorer: 3D ゲームキット」はUnity 2020.3対応ですが、少々重ための内容なので後で紹介する「3Dゲームキットライト」を試してみると良いでしょう。

この学習コンテンツは多数のコンテンツの中からUnity初心者向けに作られたコンテンツをまとめたページです。Boltと呼ばれるビジュアルスクリプティングを用いた「玉転がし」プロジェクトから始まり、レベルデザインを楽しめるCreator Kitシリーズ、ゴーカート、2D、FPS、レゴ®など、改造しながらUnityを学ぶことができるマイクロゲームシリーズ、そしてフルスクラッチでC#によるプログラミングをしてゲームを作成するCreate with Codeがあります。
これらの並びはそれほど重要ではなく、気に入った物から試してもらうと良いと思います。特にマイクロゲームシリーズはベースとなるシステムに対して様々な改造方法を提示していますので、改造を通じてUnityの理解度が高まるようになっています。
また、Create with CodeはUnityでプログラミングをする基本的な方法が学べます。とても長いコンテンツですがコツコツと勉強を進めてください。
次にアーティスト向けのコンテンツを紹介します。
「リアルタイム 3D アニメーションでストーリーを伝えよう」

このコースでは、リアルタイム 3D アニメーションでストーリーを伝える方法を学び、最先端の技術を使って独自の 3D アニメーションを作成方法について学ぶことができます。プログラミングは一切行わず、ProBuilder(3Dモデリングツール)、Tineline(時間に沿ったカメラやオブジェクトの活性/非活性を管理)、Cinemacine(プロのカメラマンの様なカメラワーク機能を提供)、PostProcessing(画面をきれいに加工する)、Unity Recorder(録画機能の提供)などUnityが提供する基本機能だけで映像制作を行います。
また、このコースでは、プレビジュアライゼーションのスキルを身につけ、環境や小道具の作成、キャラクターのアニメーション化、ストーリーの撮影、ライティングやエフェクトを使ったシーンの磨き方などを学ぶことができます。
次に、もう少し自由にゲームを作成したいと言う方のためのキットを紹介しましょう。

3D ゲームキット ライトは、前述の「The Explorer: 3D ゲームキット」から綺麗な3Dモデルやエフェクトを省き、レベルデザインの基本やゲームの仕掛けづくりなどを学習することができるコンテンツです。スクリプトリファレンスもあるので、使い方を学んだあとはさらにスクリプトの内部まで読むことで、UnityによるC#プログラミングの仕組みを知ることができます。
最後にVRコンテンツの作成の入門コースを紹介します。

VRアプリを作ろうと思ったとき、恐らくそのほとんどにおいて「コントローラーの制御」「テレポート移動の方法」「物を触ったり掴んだり、スイッチの様の反応するオブジェクトの設定」「VR用のUIの設定」などの方法を調べて実装すると思います。このコンテンツではそれらの基本的な実装方法を紹介しているので、ここからさらに勉強を進めると良いと思います。
Unity Learning Materials

名前が似ているため混乱するかもしれませんが、Unity Learning MaterialsはUnity Technologies Japanが運営する学習サイトです。基本的に日本語メインの学習サイトです。
元々はUnity Technologies Japanのメンバーが年に居1井戸開催されていたUnite TokyoやUnity Technologies Japan オフィスや地方などで開催していたUnity道場などで発表した動画やスライドなどをまとめて紹介するサイトでした。そして徐々にその適用範囲を広げていき、今ではコミュニティ主催のUnity勉強会の動画やスライド、オリジナルコンテンツの提供など幅広く取り扱っています。
また日本で運用しているため、隅々まで日本語で構成されている点で日本のUnity初心者向きと思うかもしれません。しかし、情報元がUniteやUnity道場などある程度Unityに触れていて、そういう人たちが面白いと思うコンテンツが多い傾向にあるため、若干難易度が高めなのと、体系的に学ぶと言うのには向いていません。なので、ある程度Unityに触れて「この分野についてもっと知りたい」と言う時に役立つサイトだと言えます。
そんな中でもUnity初心者でも、興味が持てそうなコンテンツをいくつか紹介していきたいと思います。

Unityの安原 広和さんによる「あそびのデザイン講座」のまとめになります。あそびのデザイン講座とは、人間の持つ「本能」から読み解いていく、楽しさを形作るための思考法について解説するというコンテンツです。なかなか見かけない教材だと思いますので、ゲーム作りに悩んでいる方は是非一度語らになることをお勧めします。

こちらはUnityの安原 祐二さんによる講座です。Unity初学者がある程度勉強して「次にどうしようか」と言う方を対象としたコンテンツです。初心者から中級者を目指すときに、まずどこから手を付けたら良いかと言うのが分かる内容となっています。
「Unity道場2D編 Shader Graph はじめてみよう!基礎編」

「Unity道場2D編 Shader Graph はじめてみよう!実践編」

「シェーダーは難しい」と思われがちですが、そう余り身構えずに気楽な気持ちでこの動画を見て欲しいと思います。シェーダーを駆使するとこんな表現ができると言うのを一つ一つ丁寧に解説しています。実際に自分でも手を動かしながら試してみることをお勧めします。
他にもトップページから少し下の方にスクロールさせると初心者向けのコンテンツが多数ありますので、是非一度ご視聴頂ければと思います。

おわりに
Unityに関する情報は日々アップデートされ、Unity初学者が一人で学ぶには結構大変なことだと思います。ですが、現在のUnityはLTS(Long Team Support)バージョンと呼ばれる安定したバージョンがありますので、まずはそのバージョンを対象とした学習コンテンツから勉強することをお勧めします。それである程度Unityに慣れてきたら、最新版(Tech Steam)を試してみたり、旧バージョン用のコンテンツでも有益な情報を見つけたら、まずは旧バージョンのUnityをインストールして学習したり、バージョンアップを試みてエラーが出たらどうやったら直せるかと言うのも勉強の一つです。なお、面倒だからと言っていきなりバージョンアップするのはおすすめしません。まずは成功体験をしてから次に進むのがコツです。
以前は全国の様々なところでオフラインの勉強会が開催されており、同時にUnityに関する質問を気軽に「Unity何でも相談所」と言うのをやっていました。ですが、ここ1~2年は社会情勢の問題でオンライン勉強会がメインとなったため、個人的な相談をする場が少なくなりました。今ではオンラインでもUnityの学習ができる環境はありますので上手く活用するのが良いと思います。今回紹介した内容は自学自習できるものを紹介していますが、それでも行き詰ることもあります。そんな時は、各種SNSで相談するもよし、仲の良い知人と一緒に勉強するのも良いでしょう。
今後も皆様がUnityを学ぶ機会を絶やさないように、様々な情報を発信していく予定ですのでご期待ください。